お客様からのご質問 Vol.2

2025.08.05

相続した土地が接道しているのは「道路」なの?

 

先日、足立区・荒川区内の物件ではありませんが、このようなお問合せを頂きました。

ご自身で少しお調べされて、どのように対応したら良いかわからないとのこと・・・

  • 建物再建築の際、接道要件の対象となるのはあくまでも「道路」である必要があります。
     → 今回の接道部分は「通路」であって「道路」ではないことが判明。

  • 形状はコの字型をした一見「私道」のように判断できますが、調査の結果は位置指定もされておらず、「私道」でもなく無論「公道」でもありませんでした。一体、どのように規定されているのか・・、建物再建築の要件を満たすことはできるのであろうか

  • ご質問者の方の不安は増すばかりです・・

  • 結果は・・建築基準法43条第2項第2号を適用する必要があるが、区役所と協議する必要がある。
     → 申請して協定道路の認可を得て、再建築可能とする方法がある。

  • ただし、簡単ではありません。補足すると、
     → 「協定道路」としての成立ができていない状況にあることも判明しました。
     → この通路に接してはいるが、他の道路にも接道している土地所有者が、
      敷地の一部を供出しないとならないため協定に同意していない。(位置指定道路にできない)

  • 区役所側も十数年前より、この状況を承知しており解決したい意向である。

■ 建築基準法 第43条第2項第2号とは?

通常、建築物を建てるには、建築基準法第42条に基づく幅員4m以上の「道路」に2m以上接している必要があります。例外的に第43条第2項第2号では、接道義務を満たさない場合でも、以下のような条件を満たせば特例的に建築を認めることがあります。ただし、基本的に幅員を含めた現況が「道路」としての要件を満たしていることが前提です。

  • 関係者(共有持ち分所有者)の協定(協定道路等)により「通行可能性」が確保されている。

  • 建築審査会の同意を得た上で、例外的に許可される場合がある。

 

「道路」ではなく「通路」──43条2項2号と協定道路の確認

建築における“接道義務”は、都市計画・建築の根幹とも言える重要な制度です。しかし、今回のご相談者様のお話しや調査の結果、「確かに通路はあるが、それは“道路”ではない」というケースが判明いたしました。実際、都内にはこのような土地がたくさん存在します(経験上、足立区、荒川区、板橋区が多い)今回は、このような事例に基づいて、建築基準法第43条第2項第2号の運用と協定道路に関する実務的な課題を取り上げました。

協定道路不成立となった「通路」

区役所側は、通路を私道として位置指定道路化し、十数年前から所有者間の話し合いを続けてきました。位置指定道路となれば、建物再建築の際の前提条件に何も問題はありません。

注意:通路であっても私道であってもその維持・管理は所有者全員の負担と責任になります。

しかし、問題が複雑なのは「すべての所有者の合意が得られなかった」点にあります。

通路に接道してもいるが、別の道路にも接道している所有者の中に、「自分にはこの通路を道路化するために敷地の一部を供出するのが納得できない」として協定への同意を拒む者がいたのです。所有者全員の合意が得られなければ協定道路として成立しません。

通路の「道路化」が叶わず、協定道路も成立しない。こうした状況では、43条第2項第2号の適用になるよう解決を探るしかありません。不動産業者の仕事というよりも、土地家屋調査士の仕事になります。

何より、所有者全員に再度の協力要請や事情のヒアリング、申請書類の作成等々などかなりの時間と費用もかかります。しかし、この土地を価値あるものにするためには「建物再建築が可能な土地である」という確実な証明が必要なことは言うまでもありません。

「道路か通路か、またはそれ以外なのか」が重要

ワイズオフィスでは豊富な経験の実績に基づいた物件調査を行います。もし、ご不安な事などがございましたら、お気軽にお問合せ下さい。ご一緒に最適なご売却方法を探って参りましょう。

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